バーチャルオフィスはコストを抑えて法人住所を取得できる便利なサービスですが、契約前にデメリットをきちんと理解しておくことが大切です。
物理的なスペースを持たない仕組み上、業種や使い方によっては後から「こんなはずじゃなかった」と感じるケースがあります。
この記事では、バーチャルオフィスの主なデメリット7つと、それぞれの具体的な対策を解説します。
14社の比較データをもとに、どの事業者を選べばデメリットを最小化できるかも合わせてお伝えします。
どのバーチャルオフィスが自分に合うか迷ったら、主要14社を料金・法人登記・銀行口座サポートで並べた比較表が便利です。
バーチャルオフィスの7つのデメリット一覧
まず全体像を把握しておきましょう。
| デメリット | 主に影響するシーン | 深刻度 |
|---|---|---|
| ①銀行口座の開設審査が厳しい | 法人設立直後・メガバンク利用 | ★★★ |
| ②住所を複数法人と共有する | 高信頼が必要なBtoB業種 | ★★☆ |
| ③来客・打ち合わせスペースがない | 対面業務が多い事業 | ★★☆ |
| ④郵便物の受け取りにタイムラグ | 急ぎの書類を扱う事業 | ★★☆ |
| ⑤一部の許認可業種で使えない | 古物商・職業紹介など | ★★★ |
| ⑥固定電話番号の取得が別途必要 | 法人番号で信頼を出したい場合 | ★☆☆ |
| ⑦事業者都合で住所が変わるリスク | 長期利用を想定している場合 | ★☆☆ |
以下で各デメリットを詳しく解説します。
デメリット①:銀行口座の開設審査が通りにくいことがある
なぜ審査が厳しくなるのか
バーチャルオフィスの住所で法人銀行口座を申請すると、審査に時間がかかったり否決されるケースがあります。
同じ住所に多数の法人が登録されているため、銀行側が「実体のないペーパーカンパニーのリスク」として慎重に判断するためです。
特にメガバンク(三菱UFJ・三井住友・みずほ)や地方銀行では、バーチャルオフィスを本店住所とした法人の口座開設が難しいと報告されることが多いです。
対策:開設実績のある事業者・銀行を選ぶ
ネット銀行(GMOあおぞらネット銀行・PayPay銀行・住信SBIネット銀行など)はバーチャルオフィスの法人でも比較的口座を開設しやすい傾向があります。
信用金庫は事業実態を担当者に直接説明できるため、メガバンクより通過しやすいケースもあります。
GMOオフィスサポートのように提携銀行での口座開設サポートを提供している事業者を選ぶのも有効な手段です。
口座開設の詳しい対策と各社の対応状況はバーチャルオフィスで銀行口座を開設する方法で解説しています。
デメリット②:住所を複数の法人と共有するため信用面の不安が出ることがある
取引先からどう見られるか
バーチャルオフィスの住所は、多数の法人が共有して登記に使っています。
Googleマップで検索すると同住所に多数の法人がヒットすることがあり、取引先に「実体のない会社では」と疑念を持たれる可能性がゼロではありません。
ただし、BtoC業種(ネットショップ・フリーランス)では住所の見栄えはほぼ問題になりません。
大手企業や官公庁を相手にするBtoB業種では、「事務所訪問が前提」の取引先から不信感を持たれる場面が出てくることがあります。
対策:一等地の住所を選びビジネス実態を可視化する
銀座・渋谷・新宿・大阪梅田など一等地の住所は、取引先への印象が良く信用面のデメリットを緩和しやすいです。
ウェブサイトや名刺に代表者の顔写真・実績・SNSを掲載し、事業の実態を可視化することでも信頼を補えます。
「バーチャルオフィスは怪しいのか」という点を詳しく解説したバーチャルオフィスは怪しい?実態と後悔しない選び方もあわせてご参照ください。
デメリット③:来客対応・打ち合わせスペースがない
作業スペースも含めて「ない」が前提
バーチャルオフィスは住所・電話・郵便転送を提供するサービスです。
クライアントを迎えたり、スタッフが集まって作業したりするための物理スペースは、基本プランに含まれていません。
商談・打ち合わせが定期的に発生する業種では、場所の確保に別途コストがかかります。
対策:会議室オプションやコワーキングを活用する
多くのバーチャルオフィス事業者は、時間単位で使える会議室を有料オプションで提供しています。
レゾナンスは月2時間まで会議室無料、GMOオフィスサポートは全国コワーキング利用オプションあり、バーチャルオフィス1は渋谷・千代田で会議室利用可(有料)と、事業者によって条件が異なります。
打ち合わせ頻度が月数回程度ならコワーキングスペースやカフェを都度利用するほうがコストを抑えられることも多いです。
会議室の利用頻度が高い場合は、コワーキングスペース付きのレンタルオフィスへの移行も選択肢の一つです。
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デメリット④:郵便物の受け取りにタイムラグが生じる
転送まで数日かかることも
バーチャルオフィスに届いた郵便物は、事業者が保管したうえで定期的に転送されます。
転送頻度は事業者によって異なり、週1回しか選べない場合は最大7日近く手元に届かないこともあります。
税務署・行政からの通知や取引先からの書類など、急ぎ対応が必要な郵便物がある業種では特に注意が必要です。
対策:転送頻度を確認してから事業者を選ぶ
レゾナンスやGMOオフィスサポートは随時転送(1通ごとに即転送)オプションを提供しています。
ナレッジソサエティは来店受け取りにも対応しており、急ぎの書類を直接受け取ることも可能です。
転送料が差出人払い(無料)か受取人払いかも事業者によって異なるため、コスト計算に含めておきましょう。
転送・受け取りの仕組みと各社の対応比較はバーチャルオフィスの郵便物はどう届く?で詳しく解説しています。
デメリット⑤:一部の許認可業種では住所として使えないことがある
許認可申請の「営業所要件」に引っかかるケース
業種によっては、許認可申請の要件として「独立した営業所または事務所の実態がある住所」が求められます。
複数法人が共有するバーチャルオフィスの住所では実態要件を満たせず、申請が受理されないケースがあります。
特に注意が必要な業種は次のとおりです。
- 古物商(都道府県公安委員会への届出)
- 職業紹介事業・有料職業紹介(厚生労働省への許可)
- 労働者派遣事業(独立した事務所の実態が必要)
- 宅地建物取引業(一部都道府県)
対策:事前に管轄窓口に確認する
許認可の要件は業種・都道府県によって異なります。
申請前に管轄の行政窓口(公安委員会・ハローワーク・都道府県担当課)に「バーチャルオフィスの住所で申請できるか」を確認することが最も確実です。
なお、古物商については使用承諾書の発行に対応する事業者を選べば申請できる場合もあります。
詳しくはバーチャルオフィスで古物商許可は取れない?をご覧ください。
デメリット⑥:固定電話番号の取得が別途必要になる
基本プランには住所だけが含まれることが多い
バーチャルオフィスの基本プランには住所のみが含まれており、固定電話番号はオプション扱いのケースがほとんどです。
「03」「06」などの市外局番付き固定電話番号を名刺や会社案内に載せたい場合、電話転送オプション(月額1,000〜3,000円程度)を追加する必要があります。
携帯番号だけでは「法人としての信頼感に欠ける」と感じる取引先も一部います。
対策:電話オプション込みのプランで総コストを見積もる
月額基本料が安くても電話オプションを追加すると総コストが上がることがあります。
最初から電話番号付きプランを提供しているGMOオフィスサポートやバーチャルオフィス1なら、セット料金でコストを抑えやすいです。
電話転送オプションの詳細比較は電話番号が使えるバーチャルオフィスのおすすめと注意点をご覧ください。
デメリット⑦:事業者都合で住所が変わるリスクがある
事業者が移転・廃業するとどうなるか
バーチャルオフィスを提供する事業者が移転・廃業した場合、登録した住所が使えなくなります。
法人登記の住所変更には登録免許税1万円がかかり、名刺・ウェブサイト・各種届出のすべてを更新する手間も発生します。
法人設立直後から複数年にわたってバーチャルオフィスを使い続ける予定がある場合は、事業者の安定性が重要なポイントになります。
対策:運営実績と財務基盤で事業者を選ぶ
設立10年以上・複数拠点を持つ事業者は、急な撤退リスクが相対的に低いと考えられます。
レゾナンス(2010年設立・東京13拠点)、GMOオフィスサポート(GMOグループ資本・上場グループ傘下)、ワンストップビジネスセンター(2009年設立・東証上場グループ)などは運営実績と財務基盤が安定しています。
月額が非常に安い後発の格安事業者は、継続性について慎重に確認することをおすすめします。
バーチャルオフィスが向かないケース・向いているケース
向かないケース
- 頻繁に来客・商談対応が必要な業種(店舗型ビジネス・教室・診療所など)
- 許認可で独立した事務所の実態が求められる業種(古物商・職業紹介など)
- 大手企業・官公庁との法人営業で高い信用が求められる場合
向いているケース
- フリーランス・個人事業主が自宅住所を公開したくない
- 起業初期にコストを抑えながら法人住所を持ちたい
- リモートワーク・フルオンラインで事業が完結するビジネス
- ネットショップ・ECサイトの特商法表記に住所が必要
- 地方在住で東京・大阪の住所でブランディングしたい
まとめ:デメリットを把握した上で事業者を選ぶことが大切
バーチャルオフィスのデメリットは、仕組みを理解せずに契約することで顕在化するものがほとんどです。
銀行口座・許認可・郵便対応など、自分のビジネスで問題になりそうなポイントを事前に洗い出し、それを解消できる事業者を選ぶことが重要です。
料金・登記対応・口座開設サポート・郵便転送頻度・電話オプションを14社で比較した一覧は、下のランキングでまとめています。
どのバーチャルオフィスが自分に合うか迷ったら、主要14社を料金・法人登記・銀行口座サポートで並べた比較表が便利です。
よくある質問
主なデメリットは7つです。①銀行口座の開設審査が厳しい、②住所を複数法人と共有する、③来客・打ち合わせスペースがない、④郵便物の転送にタイムラグがある、⑤一部の許認可業種で住所として使えない、⑥固定電話番号は別途取得が必要、⑦事業者都合で住所が変わるリスクがある、の7点です。それぞれに対策があり、事業者を正しく選べば多くのケースで問題なく利用できます。
ネット銀行(GMOあおぞらネット銀行・PayPay銀行・住信SBIネット銀行など)は比較的開設しやすいとされています。メガバンクや地方銀行は審査が厳しいケースが多いです。GMOオフィスサポートのように提携銀行での開設サポートがある事業者を選ぶのも有効です。
基本的には難しいとされていますが、使用承諾書の発行に対応する事業者を選べば申請できる場合があります。都道府県の公安委員会によって判断が異なるため、事前確認が必要です。詳しくは「バーチャルオフィスで古物商許可は取れない?」をご参照ください。
転送頻度は事業者によって異なります。週1回の転送しかない場合は最大7日近くかかることもあります。随時転送オプションがある事業者(レゾナンス・GMOオフィスサポートなど)を選ぶか、来店受け取りが可能な事業者を選ぶことで解決できます。
フリーランス・個人事業主、起業初期のスタートアップ、ECサイト運営者、フルリモートで事業を回している方に特に向いています。逆に、来客対応が必須の業種や許認可で実体のある事務所が要件になる業種には向いていません。